THE GENTLE DRAGON

 

 

 

SIDE STORY 42  「FREEFALL」  

 

 

SCENE1
 リュウイチとスーザンが結婚して十三年の月日が流れた。ふたりの間には娘(カノン 花音 12歳)と息子(カズネ 和音 10歳)が生まれている。
 「カズ、学校に遅れるわよ」
スーザンが言った。
「僕、頭が痛い」
リュウイチがそっと目配せをし、スーザンが小さくうなずいた。
「よし、じゃあ今日パパは勤務が昼からだから、少し様子を見よう。それでいいよね、スーザン」
「ええ、いいわ。じゃあ行きましょう、カノン」
「いってきます、パパ」
「いってらっしゃい」
カノンとリュウイチはキスをかわした。だんだんスーザンに似てきたな、とリュウイチは思った。カズネはどちらかというと、リュウイチに似ている。カノンは、うつむいているカズネに小さな声で
「ずる休み!」
と言うと、ドアの方へ走った。
「おいおい、カノン……しょうがないなあ」
リュウイチとスーザンが、顔を見合わせ苦笑する。
「じゃあ、いってきます。カズをお願いね」
「了解。いってらっしゃい」
 朝食の後片付けと洗濯、掃除を手早くすませ、リュウイチは、ミルクティーとホットチョコレートの入ったマグカップを持って、2階へ上がった。
「カズ、ドアを開けて。パパは両手がふさがってるんだ」
勉強机のいすを持ってきて、ベッドに座っているカズネと向かい合わせに座る。
「学校で何かあった?」
カズネがかぶりをふった。
「じゃあ、どうしたの?言ってくれなきゃわからないよ」
カズネはしばらく無言でホットチョコレートを飲んでいたが、やがて口を開いた。
「お姉ちゃんが……」
「意地悪した?」
「ううん……お姉ちゃんはピアノが上手だけど、僕は……」
リュウイチはカズネが元気がない理由に思い当たった。昨日夕飯の時に、新学期からカノンを、ジュリアード音楽院のプレ・カレッジに入学させようという話が出たのだ。
「カノンはピアノを弾くのが大好きなんだ。ピアニストになりたいって言うし、たまたま才能もある。だから音楽の勉強をしようってことになった。でも、カズはピアノがあんまり好きじゃないよね。好きじゃないことを無理にやらなくてもいいって、パパとママは考えてるんだ」
「だってパパの子どもなのに」
カズネはマグカップのふちを、指でなぞりながら言った。
「そんなの関係ないよ。エラもジェフも、ピアノはいやだってとっくにやめちゃってるでしょ。パパの妹と弟なのに」
「でも、ジェフはスポーツ万能だし、エラもジェフもドクターになるんだって。……僕はスポーツは下手だし、泣き虫で弱虫だし」
「ごめん、それは全部パパに似たんだ」
「勉強も嫌いだもん」
リュウイチはにっこり笑った。
「勉強が好きな子どもなんていないよ。あせらなくても、得意なこと、好きなことはゆっくりさがせばいいの」
「見つからなかったら?」
「それでもいいよ」
「だって、偉い人になれないよ」
「偉い人になんかならなくても、カノンもカズも幸せに暮らしてくれればそれでいいんだ。パパはいつでもふたりのことを大好きだし、誇りに思ってる」
カズネは伏せていた顔をあげた。
「ほんと?」
「ほんとだよ。元気になった?」
「うん!」
「返事は『はい』でしょ」
「はい。僕、学校に行くよ」
「よし、じゃあ送って行ってあげよう」



SCENE2
 午後、リュウイチは病院へ出勤した。39歳になった彼の現在の役職は、外科副部長である。ちなみに外科部長はエリザベスで、スーザンはER部長、ウィーバーが診療部長、そしてロマノが院長であった。

 「リュウ!ちょっと来て!患者が暴れてるの!」
カルテを見ながら廊下を歩いていたリュウイチに、治療室のドアから顔を出したスーザンが叫んだ。入ってみると、2メートル近い巨漢を看護師とふたりで押さえつけようと、悪戦苦闘しているところだった。
「ハルドールをうって!」
「わかった!」
注射器を左肩に突き刺したとたん、患者がまた暴れだし、抑制がはずれて、右のパンチがリュウイチの顔面にヒットした。
「うわっ!」
思わず声をあげたが、注射器は離さなかった。
「はい、いっちょうあがり。お休みなさい」
注射器をディスポーザーに投げ込む。
「大丈夫?ちょっと診せて」
スーザンが、右目の下を指で押さえた。
「骨折はしてないわ。でも冷やさなきゃ」



SCENE3
 ラウンジでスーザンは、リュウイチに紅茶、自分にはコーヒーをいれた。
「はい」
「ありがとう」
リュウイチは左手でカップを持ち、ひと口すすった。右手には冷却パックを持ち、目の下にあてている。
「カズは元気に学校へ行ったよ」
「よかった」
「夕べ、カノンをジュリアードへやるっていう話をしたでしょ。それがしおげてた原因。自分は何も得意なこと、好きなことがないって」
「そんなの気にしなくてもいいのに」
「カズったら、偉い人にならなきゃいけないと思ってたみたいだ」
「まあ」
「だから、幸せに暮らしてくれればそれでいいんだって言っておいた」
「これからだんだん難しくなるわね」
スーザンはため息をついた。
「そうだね。カノンもピアニストの道は厳しいから、これから何度も壁にぶつかると思うよ」
リュウイチもため息をつく。
「ふふっ」
「なあに?スーザン」
「あのね、今は子どもたちのことでため息ついてるけど、もう10年もしたら、私も年を取ったなあってため息をついてるんだろうなって思ったら、おかしくなっちゃった」
「その頃になったらカズも家を出てるだろうし、僕たちふたりきりだね。まあ僕は50前だから、君と違ってまだまだ若いよ」
「もう、リュウったら!」
スーザンは、リュウイチの肩を軽くぶった。
「何してるかしらね、私たち」
「先生!胸部痛の患者が来ました!」
看護師がドアから声をかける。
「すぐに行くわ!」
「今と変わらないよ、きっと」
リュウイチはにっこり笑った。



SCENE4
 「おい、さぼるなよ」
ロマノが入ってきて、コーヒーメーカーからマグカップにコーヒーをそそいだ。
「あいかわらずここのコーヒーはまずいな。スーザンに、なんとかしろって言っとけ。……どうかしたのか?」
「患者に殴られたんだ」
リュウイチは、アイスパックをはずして見せた。
「お前は反射神経がないからな」
「すみませんね、不肖の息子で。あ、でもジェフがパパに似たから、よかったじゃないですか」
「まあな」
「野球選手になれって、みんなが言ってるんですって?」
「そうみたいだ」
「エラは、弁護士になれって言われてるんでしょ」
「あいつ口が達者だからな」
ロマノは顔をしかめた。
「知ってますよ。僕なんて、とても太刀打ちできません」
「あの調子じゃ、嫁の貰い手がないぞ」
「その方がいいくせに」
「なんだと?」
「エラが結婚するのはいやなんでしょ」
「そう言うお前はどうなんだ。カノンだって将来、結婚するって言うぞ」
「僕はいやです。どうして、あんなにかわいいカノンを嫁にやらなきゃならないんですか?僕はカノンが結婚するって考えただけで、気が狂いそうになりますよ」
「エラのボーイフレンド、知ってるか?」
「ええ、写真を見せてもらいました」
「どう思う?」
「くだらない男です」
「だろう?カノンにはいないのか、ボーイフレンド」
「いますよ。エラのより、もっとくだらないやつです」
ロマノとリュウイチは、同時に深いため息をついた。



SCENE5
 「ジェラルド・エルキンズ、45歳。頭頂部をスパナで殴られ、車を奪われました。3センチの裂傷、意識喪失無し、呼吸音良好。血圧150の80、脈拍92」
救急隊員が容体を報告し、患者をストレッチャーから治療台へと移す。
「エルキンズさん、ドクター・リュウです。どうぞよろしく。災難でしたね。ええと、傷はと……出血は止まってますね」
リュウイチは、白衣の胸ポケットからペンライトを取り出した。
「ライトを目で追ってください…………」
 頭部CTをオーダーして治療室を出たリュウイチは廊下で、ストレッチャーを押しながらやってくるスーザンに出くわした。
「リュウ!銃創患者が3分後に到着するからよろしく!」
「了解!」
救急搬入口へとリュウイチが走る。

 リュウイチは素早く挿管すると叫んだ。
「テンブレードと32フレンチをください!それから2ー0のシルクを!」

 「クロスマッチを4単位、Oマイナス2単位……チューブからの出血は800ccか」
「心停止!」
「心マッサージを始めてください!スターナルソーをお願いします!」
リュウイチは一気に患者の胸を開いた。
「右心室に穴…………あった!左心室に出口だ!2ー0のシルクをください!」
 「体内パドルを20にチャージ。……さがって!……よし!戻った!……あとは滅菌生食で洗って、新鮮凍結血しょうをお願いします。それと、オペ室へ連絡してください」
リュウイチは、グローブを脱ぎ捨てながら指示を出した。



SCENE6
 「エルキンズさん、具合はどうですか?」
リュウイチはシャーカステンに、CTのフィルムをはさんだ。
「異常はありません。傷口を縫合しましょう。局部麻酔をうつので、ちょっとチクッとしますよ……でも、けががたいしたことなくて、不幸中の幸いでしたね」
「ええ、まったくです」
「犯人の顔は見ましたか?」
「いいえ、いきなり後からガツンとやられたもので」
エルキンズは、背が高く痩せ型でメガネをかけており、少し神経質そうな印象の男だった。その穏やかな声のトーンからは、知性が感じられる。
「ひどい話だなあ」
「私も不注意だったんです。……先生、右目の下、どうなさったんですか?」
「患者に殴られちゃいました」
「それは災難でしたね」
「よけそこなった僕が悪いんです」
リュウイチは肩をすくめた。

 「……さあ、終わりましたよ。と言っても、まだ帰れませんけど」
「えっ!どうしてですか?」
「あ、えーと、警察の事情聴取があるので、それまではここでお待ちいただくことになるんです」
「それは困る」
「何か急ぎの用事でもあるんですか?」
リュウイチの問いには答えず、エルキンズは服を着替え始めた。
「ちょっと待ってください!エルキンズさん!……困ったな……」
そこへちょうど警官が入ってきたので、リュウイチはほっとした。

 「ドクター、事情聴取はできますか?」
「ええ、治療はもう終わりまし……」
突然リュウイチは腹部に衝撃を受け、仰向けに倒れた。灼熱感が、そして一瞬遅れて激痛が襲う。思わずリュウイチはうめいた。
「ドクター!」
警官が叫ぶ。
「ここから出ろ!」
エルキンズは拳銃を構えたまま、警官に向かって怒鳴った。
「そうしないと、もう一度ドクターを撃つ!」
 『身体の外への出血は400ccくらい……貫通してない……至近距離だし……くそっ……弾が腹の中で跳ね回ったな……中は大出血だろう……今すぐオペ室に行ったとしても間に合うかどうか……』
「立て!」
起き上がろうとしたが、身体に力が入らなかった。エルキンズは舌打ちし、肩にかつぎあげる。
 
 治療室を出ると、エルキンズはそのままエレベーターに向かった。拳銃をリュウイチにつきつけているので、警備員も警官も手が出せなかったのだ。エレベーターは屋上に止まり、みんなはなだれをうって階段を駆け上った。



SCENE7
 エルキンズは屋上の手すりにもたれて、自分の身体の前ではがいじめにしたリュウイチの頭部に拳銃を突きつけ、大声で言った。
「10分以内にヘリを用意しろ!」

 リュウイチは、出血のせいで意識がもうろうとしていた。ぼやけた視界に白衣の集団が見える。警官隊を押しのけて前に出ようとして、押し戻されているようだった。
「リュウ!大丈夫か!」
『……大丈夫じゃないよ、パパ……』
リュウイチは苦笑した。
「リュウ!」
『あの声は、ママとウィーバー先生……』
「リュウ!しっかりして!」
『……スーザン!』
リュウイチは目をこらした。スーザンが警官に抱きかかえられながら、必死になって叫んでいる。
『……前に出ちゃあぶないよ、スーザン……カノンとカズを頼むね……』

 やがてバラバラとローターの音がし、ヘリコプターの機影が見え始めた。リュウイチの背中越しに、エルキンズがほっと安堵のため息をつくのが感じられた。
『……僕の命もあと5分ってとこだな。じき心停止になるぞ……』
「おい!人質交代だ!そこの杖をついてる女!こっちへ来い!来ないとこいつを撃ち殺すぞ!」
『……ウィーバー先生……』

 ヘリコプターが着陸態勢に入った。風が巻き起こる。エルキンズはリュウイチの耳元で言った。
「先生、あなたに恨みは無い。すまないと思ってる。でも、私にはやらなければならないことがあるんだ」
リュウイチはつぶやいた。
「僕にも、やらなければならないことがあるんです……」
「え?何だって?」

 そのとき、ウィーバーはふたりから2メートルのところまで近づいていた。リュウイチが、ウィーバーにむかってにっこり笑った。
『……リュウ、なに?』
 次の瞬間リュウイチは、渾身の力を振り絞ってエルキンズの右足を自分の右足で蹴り上げ、同時に体重をエルキンズに預けた。屋上の手すりには1ヶ所低い部分がある。エレベーターから一番遠い場所。エルキンズが立っていたのは、まさにその場所だったのだ。
「うわあああっ!」
エルキンズが叫んだ。その瞬間はまるでスローモーションのように、その場にいた者の目には映った。リュウイチとエルキンズは重なったまま、ゆっくりと視界から消えた。

 ウィーバーは手すりにかけより、そして叫んだ。
「リュウ!」
 
 「リュウ!」
みんなが絶叫する。その声は落下していくリュウイチの耳にも届いた。リュウイチがほほえむ。
『……ありがとう……』
リュウイチの意識はそこで途切れた……。



SCENE8
 犯人の、ジェラルド・エルキンズという名は偽名だった。本当の名前はジェームズ・マニング。マニングの自宅からは事件後、とんでもないものが発見された。アメリカ中に撒いてもお釣りがくる量の炭疽菌、天然痘ウイルス、ペスト菌、ボツリヌス菌など、いわゆる生物兵器と言われる物が保管されていたのだ。それと同時に綿密な計画書も見つかった。アメリカを壊滅させる大規模な生物テロ。マニングの『やらなければならないこと』とは、これであったのだ。
 マニングは生物学の博士号を持っており、専攻は細菌学。製薬会社に勤めていた。ひとり暮らしをしていた家の地下室にはラボがあり、そこでマニングは、せっせと細菌を培養していたものと思われた。いつからマニングがテロを計画していたのかは定かではなく、共犯者もいないため、動機も不明のままだった。

 マッド・サイエンティストによるテロの決行日は、計画書によると、ちょうど事件の1週間後になっていた。偶然リュウイチは自らの命を賭して、テロを未然に防いだことになる。
 しかし、そんなことは何のなぐさめにもならなかった。たとえアメリカが壊滅してもいいから、リュウイチには生きていてほしかった。これが彼を知る者すべての、正直な思いであったのだ。



SCENE9
 「じゃあ、ERを案内するからね」
「はいっ!よろしくお願いします!」
「何かパパに言われた?」
「ええと、『知ったかぶりをするんじゃない。できないことはできないってちゃんと言え。知ったかぶりはお前と患者の”命取り”になるんだぞ』って」
「あ、それ俺も言われた。兄貴も言われたとか昔言ってたっけ……息子だけじゃなくて、孫にも同じこと言うんだな、あの人……カズ、そんなにしゃちほこばらなくてもいいよ。もっとリラックスしなきゃ。まあ、実習の初日だから緊張するのはわかるけど。俺にも覚えがあるからさ」
24歳になったカズネは無理に笑顔を浮かべたが、ほおのあたりがこわばっている。
「でもね、ジェフ。僕、うまくやっていけるかどうか、すごく心配なんだ」
「大丈夫、チーフ・レジデントの俺がついてる」
「偉そうなこと言っちゃって」

 「エラ!オペじゃなかったのか?」
手術着姿のエラは腕組みをし、胸をそらせた。
「オペは9時からよ。カズの記念すべき実習初日をちょっとのぞきにきたの。がんばりなさいよ、カズ。ふふっ、外科実習が楽しみだわ。あんたは将来外科医になるんだから、しっかりしごいてあげる。覚悟しといて」
ジェフは顔をしかめた。
「エラ、プレッシャーをかけるのはやめろ。ただでさえカズは、緊張でガチガチなんだから」
「甘やかしちゃダメよ、ジェフ」
「わかってる」
「返事は『はい』でしょ」
「うるさいなあ!」
「何よ!その言い方!」

 カズネは、あわててふたりの間に割って入った。
「あ、あのね、お姉ちゃんがコンサートのチケット送ってきたんだ。12月に、シカゴ交響楽団と競演するんだって」
エラの顔がぱっと輝く。
「じゃあ、クリスマスは一緒に過ごせるわね!」
「うん。ウィーンには年が明けてから戻るって」
「久しぶりだな。カノンに会うの」
ジェフも笑顔を見せた。
 
 「カノンがどうしたって?」
「おじいちゃん!」
「パパ!どうしてこんなところにいるのよ」
「俺だけじゃないぞ、ほれ」
ロマノはあごをしゃくった。
「ママ!一体何の用事?ひょっとしてカズを見に来たの?」
ジェフがあきれて言った。
「今日はカズの記念すべき実習初日だ。見に来てなにが悪い。なあ、リジー」
「そうよ。あたりまえでしょ」
「もう!いつも言ってるだろ。パパやママに口出しされたら、俺もエラもすごくやりにくいんだ」
「そうよそうよ。まったく困った人たち!」
ロマノもエリザベスも、息子と娘の苦情を、聞こえないふりをして無視している。
 
 「カズ、患者を殺すなよ」
「ママがER部長だからって、甘えないように」
「ウィーバー先生まで!……もうっ!どうしてみんな、カズにプレッシャーをかけるんだ!」

 その時受付で、受話器を置きながらスーザンが言った。
「交通事故の患者が5分後に到着するわ!胸部と腹部の打撲!ジェフ、お願い!」
「了解!さあ、カズ、行くぞ!」
「はいっ!」
ロマノとエリザベス、ウィーバーそしてスーザンは、駆け出していくカズネの横顔に、一瞬リュウイチの笑顔を見た……。

 

 

THE END

 

 

 お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m
 
 以下、シーズン9、10のネタバレですm(_ _)m

 どうしても書きたかったので、このような結末となりました。

 以前、SIDE STORY25「A CRISIS」で、リュウがピアノを弾けなくなるのを、ロマノの腕の切断とシンクロさせました。それと同じように、ロマノが落っこちてきたヘリコプターの下敷きになって死ぬのなら、リュウの死もシンクロさせよう。このお話は、自分なりのロマノへの鎮魂だったりします。なので題名も『FREEFALL』でなければならなかったし、リュウは屋上から転落しなければならなかったのです。我ながら変なこだわりだと思いますが(^_^;

 あと、『テロは世の中で一番卑劣な行為なんだ』ということ、それを今回のお話の裏メッセージにしようかなと思ったのです。リュウはテロで死ぬわけではないけれど、テロリストに殺されるので。一生懸命生きてきたリュウがいきなり命を奪われる。まるでスイッチをオフにするみたいに、いとも簡単に人生が終わる……。

 このお話で最終回にするつもりだったのですが、とても足を洗えそうにないので、まだまだ書き続けます。
 
 次回はまた書けたらUPいたしますので、どうぞよろしくお願いいたしますm(_ _)m

 今回の結末にご不満の方は、こちらへどうぞ。

 

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