ＴＨＥ ＧＥＮＴＬＥ ＤＲＡＧＯＮ
ＳＩＤＥ ＳＴＯＲＹ ６１ 「ＴＨＥ ＰＡＲＴＹ Ⅱ」
ＳＣＥＮＥ１
「リュウ、その格好はなんだ」
「柳生十兵衛です。パパこそ着物なんか着ちゃって、どうしたんですか」
「ちょっとな」
ロマノが胸をそらす。
「パパはいいですよね。月代（さかやき）剃んなくてもいいし。あ、まげが結えないや」
「なんだって」
「大丈夫ですよ、パパ。江戸時代、医者は坊主頭だったんですから。残っている部分を剃ってしまえばＯＫです」
「やめろ。生えてこなかったらどうする」
「僕の茶筅（ちゃせん）まげは、髪の毛がたくさんないとできないヘアスタイルなんですよ」
「それがどうした」
「でもこれ、いい着物ですよね。ゴールドの着物なんてパパらしいですけど、上品だなあ。見る角度によって微妙に色が変わるし。高かったでしょう」
「たいしたことはない。２万ドルだ」
「ひょえ～っ！３６回払い？」
「そんなみみっちいことを、俺がすると思うか。一括払いに決まってるだろう」
「さすがだけど、大丈夫ですか」
「心配するな。カードはお前のを使った」
「……なんてことするんですかっ！」
リュウイチは携帯を取り出した。
「どうしようっていうんだ」
「返品するんです」
「クーリング・オフできる期間は、もうとっくに過ぎてるぞ」
「じゃあ、ローンを解約して、パパが払うように組みなおしてもらいます」
「まあ、かまわんが、お前小指がなくなるぞ」
「いったいどんな店で買ったんです！」
「氷付けにして持ってくれば、俺がつないでやる」
「もういいですっ！」
ＳＣＥＮＥ２
「今回は、どうして俺とお前でしゃべってばっかりなんだ」
「ふみさとが、ストーリーを考える暇がなかったんですって」
「おい、リュウ。いくらなんでも呼び捨てはいかんぞ」
「え？そうですか？」
「一応、”ふみさとのやつ”くらいにはしておけ」
「わかりました」
「で、ふたりでずっとマンザイをやるのか？」
「あ、そうじゃなくて、クリスマス・パーティーをするらしいです」
「ほ～お」
「開会の言葉を、パパにお願いしますって」
「さっさと始めろ」
ＳＣＥＮＥ３
「ちょっと！お酒がないわよ！けちけちしないで！」
「ウィーバー先生がわめいてますね」
「誰が呼んだんだ」
「パパ！」
ロマノは駆け寄るエラを抱き上げて、キスをした。
「あのね、サンタさんがプレゼントを間違えたの」
「え？だって、エラはリカちゃんハウスがほしかったんだろう？」
「違うの。本物のおうち」
「それは無理だ」
「だって、何でもほしいものをお願いしなさい。パパはサンタさんとお友だちだからって言ったもん」
「う……」
「どうしたの、ロバート」
「ちょうどよかった。エリザベス、エラがクリスマスプレゼントにおうちがほしいってきかないんだ」
「エラ、今年のサンタさんはどうしちゃったんでしょうね。ママもお願いしたダイヤの指輪がまだ届いてないのよ」
「うそだろ」
「何か言った？ロバート」
「いいや」
「ちぇっ、なんだかカップルばっかりだな。コバッチ先生とアビーさん。プラットとチェン先生、ニーラにガラント。カーター先生なんか裏切り者だよね。お嫁さんと赤ちゃんと両方だもの」
「やあ、メリークリスマス、リュウ」
「メリークリスマス、カーター先生」
「見てよ、うちのジョシュア。かわいくてね。食べちゃわないか、時々自分が心配になるんだ」
「ちょっと待った、カーター」
「あ、コバッチ先生」
「うちのマルコの方がずっとかわいいんだから、ほら」
「でたらめは許しません。一番かわいいのはうちのヘンリーです」
「馬鹿言うな。うちのエラにきまってるだろう」
「やあ、お久しぶり、ピーター」
「珍しいな、ダグ」
「なんで俺たちまで呼ばれてるんだ」
「さあな、ネタがなかったんじゃないのか」
「だろうな」
「ところで、キャロルは元気か」
「ああ、元気にしてる。お前んとこは」
「クレオか？元気だ。」
「尻に敷かれてるんだろう」
「まさか。俺が家に帰ったら、三つ指ついて出迎えるぞ」
「俺も、ずっと亭主関白でやってきてる」
「女ってのは、すぐつけあがるからな」
「そうそう、ぴしっとしなきゃ」
「ダグ！」
「ピーター！」
「はい！」
ふたりは同時に返事をした。
ＳＣＥＮＥ４
「ＮＨＫの馬○のおかげで、うちのゾーイはずっと誘拐されっぱなしだぞ。いったいいつになったら、続きを放送するんだ」
「まあまあ、大統領」
「なんだレオ。君はＮＨＫの味方なのか」
「いいえ」
「メリークリスマス！」
「メリークリスマス、クレッグさん」
ＣＪはリュウイチをぎゅうっと抱きしめ、熱烈なキスをした。
「元気にしてた？」
「ええ」
「今日はリュウを誰にも渡さないわ」
「……」
「うわっ！かわいい！ちょっと、ビビアン！」
「なあに、サム。あ、プリンス・リュウだ。ほんとかわいいね」
「ちょっと私、さわってくる」
ＳＣＥＮＥ５
「君ってすごく素敵だよね」
「ありがとう」
「あ、僕、ジョシュ・ライマンって言うんだ。君は？」
「サマンサ・スペード」
「サムって呼んでもいい？」
「遠慮して」
「……わかった。あのさあ」
「つきまとわないでくれる？」
「え？」
「つ・き・ま・と・わ・な・い・で」
サマンサはジョシュのみぞおちに、パンチを繰り出した。
「どうしたの、ジョシュ」
「エイミー、ひどいんだよ。僕はちょっと声をかけただけなのに。まさか殴られるなんて。信じられないよ」
「誰に殴られたの？」
「ほら、リュウと話してる、ブロンドの娘（こ）」
「ほんっとにあなたって、誰でもいいのね」
ジョシュは、エイミーに平手打ちを食らった。
「ドナぁ」
「知らない」
ＳＣＥＮＥ６
「トビー・ジーグラーです」
「ジャック・マローンです」
ふたりは握手を交わした。
「お噂はかねがね」
ジャックがにやりと笑う。
「ほう、どんな噂ですかな」
トビーは目を見開き、ジャックをにらみつけた。売られたけんかは買う主義だ。
「わーい！」
「こっちだぞ！」
「待ってよ！」
「なんだこれは」
「どこの子だ」
突然現れた３人の小さな男の子たちは、鬼ごっこの真っ最中だった。
「どいてよ」
「うわっ！何するんだ！」
ジャックは、子どもにむこうずねを蹴られてうずくまった。
「お気の毒」
「あ！ハゲだ。ハゲちゃびん！」
「なんだと！」
トビーは子どもを捕まえたが、いやというほど手をかまれた。
「わあっ！」
「ブレストン！ポーター！パーカー！何してるのっ！」
「やばい！」
「ママだ！」
「逃げろ！」
「ちょっとこの子をお願いします」
「私が誰だか知っているかな」
「ええ、大統領でしょ」
リネットはにっこり微笑むと、ペニーを押し付けた。
「なぜ私が、あなたの子どものお守りをしなきゃならんのだ」
「だって～、イメージって大切よね」
ＳＣＥＮＥ７
「あんら～、くぁわいい～。あたしイーディー」
「マーティンです、ど、どうも」
「あなたみたいな人、あたしタイプなの」
「は、はあ……どうも」
「どうも、しか言えないの？」
「いいえ……どうも」
「やっだぁ～。なんてかわいいのかしら～。あたしってシャイだから、めったに自分から声かけたりしないのよ。あなたは、と・く・べ・つ」
「ひ～っ！助けて、ダニー！」
「やあ、リュウ。その節はどうも」
「テイラーさん、こちらこそです」
「レストランの料理、うまかっただろう」
「ええ、とっても」
「あら、リュウ」
「ご無沙汰してます、ファースト・レディ」
「こちらはダニー・テイラー捜査官ね」
「光栄です、ファースト・レディー」
「ねえ、どうして関西弁じゃなくなったの？」
「……は？」
「関西弁がとってもかわいかったのに。ねえ、どうして？」
「はあ、ええ、まあ……マイアミから転勤してきた私も、２年目を迎えて、ニューヨーカーになったということで」
「やだ」
「は？」
「関西弁じゃなきゃやだ」
「ひょっとして酔っていらっしゃいますか」
「そうよ。悪い？」
「いいえ、そんなことは」
「関西弁に戻りなさいよ～」
「そんなことをおっしゃられても……困ったなあ。リュウ、お願い。助けて」
「レストランの請求書を回したくせに。僕は知りませんよ」
リュウイチはあかんべえをすると、向こうへ行ってしまった。
「おい！待て！待たんかい、リュウ！この薄情モン！」
ＴＨＥ ＥＮＤ
お読みいただきありがとうございましたm(_
_)m
今回はクリスマスエピです(^^)『ザ・ホワイトハウス』『ＦＢＩ失踪者を追え！』『デスパレートな妻たち』とのクロスオーバー。いつにも増して、はじけちゃいました(^_^;)
他のドラマをご覧になられていない方には？なお話だったと思います。ごめんなさいm(_
_)m
これが今年の最終エピになります。どうもありがとうございましたm(_
_)m次回はまた書けたらＵＰいたします。来年もどうぞよろしくお願いいたしますm(_
_)m