THE GENTLE DRAGON

 

 

 

SIDE STORY 21  「ANOTHER ”FIRST SNOWFALL”」 AN ADDITION(おまけ)  



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VERSION 1

SCENE1
 「え〜〜っ!そんな!あぶないですよ!スノーモービルで送っていくなんて!パパは運転が乱暴だから……」
「大丈夫よ。私が運転するの」
「お前も一緒に帰るか?」
「僕は11時からERで夜勤です。……あ、でも、エラを乗せるわけにはいきませんよ。まだちっちゃいんですから。僕が抱っこして、駅まで歩いて行きます。ちょっと待っててくださいね。上着をはおってきます」



SCENE2
 「まあ!大きい!」
「特注なんだ。いいだろう」
エリザベスはうれしそうに運転席に座った。
「どうやって運転するの?教えてちょうだい、ロバート」
「……リジー……」
「……エリザベス先生……」

 気を取り直したロマノは、エリザベスに運転の仕方を教え始めた。
「まあ、ゆっくり走れば大丈夫だろう……。こっちのハンドルがブレーキ。反対側のこれがアクセルレバーだ。スタートの時は、力を加減しろよ。いきなり強く握ると急発進して、コントロールできなくなるぞ。……エンジンのスタートはこう……停止はこうやるんだ。ちょっと練習してみろ」
「……おもしろい!」
「結構うまいじゃないか、リジー」



SCENE
 「くれぐれも気をつけてくださいよ。じゃあ、僕はエラと歩いていきますから……」

 「エラ、寒くない?」
「うん」

 「また降ったのかなあ。あんなところにふきだまりができてる……あれは何だ?動いてるぞ……人の手?……大変だ!」
リュウイチは雪のふきだまりに駆け寄った。人のひじから先がつき出ている。
「ふきだまりっていうか、屋根に積もった雪が落ちて、歩いてた人が埋まっちゃったんだ。エラ、ここを動いちゃだめだよ」
「うん」
リュウイチは大急ぎで雪をかきわけた。
「頭はどこだ?呼吸できるようにしないと……あ!あった!…………パパ!……どうしてパパが埋まってるの!」
「その話はあとだ。早くここから出せ」
リュウイチは、ロマノの両脇に腕を入れ、引きずり出した。

 「リジーに振り落とされたんだ。振動で屋根の雪が落ちてきて……呼吸は何とかできてたんだが……くそっ!もうちょっとで死ぬところだったぞ!」
「今朝僕を振り落としたばちが当たったんですよ」
「何か言ったか?」
「いいえ。……でも、エリザベス先生は初心者なんだから、運転が下手でも許してあげなきゃだめですよ。いいじゃないですか、助かったんだし」
「スピードの出しすぎで、俺は振り落とされたんだ」



SCENE4
 ロマノとリュウイチとエラは駅にやってきた。
「わあ!パパ!向こうからすごい勢いで何か来ますよ。ライトがまぶしくてよく見えないけど。こっちに入ってないと、危ないです」
「この大雪に、うれしそうに走りまわりやがって……。今夜お前の勤務中に、あの馬鹿がERに運ばれてくるのに俺は50ドル賭ける…………リジー!」
『あの馬鹿』はエリザベスであった……。

 「あんまりおもしろいから、ちょっとそのへんを走ってたの。……あらロバート、ごめんなさい。あなたを振り落としちゃったみたいね」
「何がごめんなさいだ!」
文句を言おうとしたロマノであったが、あまりにエリザベスがうれしそうなので、結局何も言えなかった。

 「ああ、すかっとした!……さあエラ、いらっしゃい。…………とっても楽しかったわ。どうもありがとう。じゃあ、さようなら。また明日ね」
「さようなら。気をつけて帰れよ」
「さようなら。また明日」

 「じゃあパパ。僕は勤務に戻ります。気を付けて運転して帰ってくださいね。お休みなさい」
「俺は電車で帰る」
「スノーモービルはどうするんですか?」
「お前が病院まで乗って帰れ」
「そんな馬鹿な!僕、運転なんてできませんよ!」
「じゃあ、かついで行け。盗まれないように、ちゃんと鎖でつないでおけよ」
「パパ!ちょっと待って!…………弱虫っ!」





VERSION 2

SCENE1
 「え〜〜っ!そんな!あぶないですよ!スノーモービルで送っていくなんて!パパは運転が乱暴だから……」
「大丈夫よ。私が運転するの」
「お前も一緒に帰るか?」
「僕は11時からERで夜勤です。……あ、でも、エラを乗せるわけにはいきませんよ。まだちっちゃいんですから。僕が抱っこして、駅まで歩いて行きます。ちょっと待っててくださいね。上着をはおってきます」



SCENE2
 「まあ!大きい!」
「特注なんだ。いいだろう」
エリザベスはうれしそうに運転席に座った。
「どうやって運転するの?教えてちょうだい、ロバート」
「……リジー……」
「……エリザベス先生……」

 気を取り直したロマノは、エリザベスに運転の仕方を教え始めた。
「まあ、ゆっくり走れば大丈夫だろう……。こっちのハンドルがブレーキ。反対側のこれがアクセルレバーだ。スタートの時は、力を加減しろよ。いきなり強く握ると急発進して、コントロールできなくなるぞ。……エンジンのスタートはこう……停止はこうやるんだ。ちょっと練習してみろ」
「……おもしろい!」
「結構うまいじゃないか、リジー」



SCENE
 「くれぐれも気をつけてくださいよ。じゃあ、僕はエラと歩いていきますから……」
「エラものんの」
「え?」
「のんのするの」
「だめだよ、エラ。エラはまだちっちゃいからあぶないよ」
「いやっ!のんのする!」
エラはべそをかきはじめた。
「おい、泣かすな、リュウ。俺が抱いていってやる」
リュウイチは、ロマノにエラをわたした。
「リューリューも」
「へっ?」
「リューリューものんの」
「そんなあ……エラ、だめだよ。僕はこれからお仕事。ねっ!わかった?」
「こわいんだろう」
「違いますよ」
「リューリューものんのっ!……ふぇ〜〜ん」
「おい、まただ。泣かすなと言っただろう!乗れ!リュウ!」
リュウイチが乗り込むと、エラが手を伸ばしてきたので、ロマノから抱き取った。
「みんな乗った?じゃあ、スタートするわよ」
『とほほ……なんで僕が乗らなきゃならないんだ……でもまあエリザベス先生の運転だから、まだましか。なんせ初心者だもんね……うわあ!うそでしょ!』
スノーモービルは急発進し、リュウイチはシートの背もたれに押し付けられた。そのままぐんぐん加速する。
「おい!リジー!スピードの出しすぎだ!」
「何か言った?ロバート」
「ふりむくんじゃないっ!リジー!前を見ろっ!」



SCENE4
 「楽しいわ!もう、最高!」
「おい、リュウ、楽しいか?」
「楽しいわけないでしょう!……わあ、エラ!あぶない!」
大喜びのエラが、リュウイチのひざの上で立ち上がった。
「……エラは楽しいみたいだな……」

 「さあ、ついたわよ。ああ、すかっとした!……さあエラ、いらっしゃい。…………とっても楽しかったわ。どうもありがとう。じゃあ、さようなら。また明日ね」
「さようなら。気をつけて帰れよ」
「さようなら。また明日」



SCENE5
 「リュウ、コーヒーか何か買って来い」
「ごめんなさい、パパ。僕、腰が抜けちゃって立てないよ」
「情けないやつだなあ」
「パパだって、足が震えてるじゃないか」
「うるさい!黙れ!」

THE END

 

 お読みいただきありがとうございましたm(_ _)m

 

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